昔あった、わた入りの重い掛け布団のことを話すとたくさんの人が懐かしくなります。「ぐっすり眠れたね」、「まゆのように包み込まれて、気持ちよかった」、「あの重さで安心した」という意見がよく聞かれます。
現在では、とても軽い掛け布団が一般的です。同時に不眠で困る人が増えています。スウェーデンでは、これには因果関係があると考える研究者もいます。その理由は抱擁ホルモンとも呼ばれるオキシトシンにあります。抱擁のときに分泌されるオキシトシンはストレスや不安に打ち勝つ効果があります。
昔の掛け布団は重くて抱擁のような感じを作りましたが、最近の掛け布団は軽いから、体の上に浮くだけです。つまり、掛け布団が重たければオキシトシンが分泌されて安心してよく眠れるのではないかという仮説です。
昔の掛け布団が睡眠に効果があったとしても、様々な弱点もありました。真冬以外は暑いこと、洗濯しにくいこと、通気性の悪さなどを思い出します。しかし抱擁とそれによって分泌されるオキシトシンを考えると、最も大きい欠点は中身のわたでしょう。包み込んでくれるよりも、昔の掛け布団のわた素材は真上から押します。
さらに、寝返りを打つと、昔の掛け布団がアーチのように浮かび上がることが多いので、寝付いたときに感じた抱擁の感覚と安心感が消えてしまいます。